アメリカの医療は、日本と勝手が違って戸惑う方も多いですよね。
特に体調を崩したときは「どこに行けばいい?」「どこで薬はもらえるの?」と不安になるものです。
本ガイドでは、アメリカに住む日本人向けに、インフルエンザの基本情報から検査、治療、予防、費用までをやさしく解説します。
インフルエンザの基礎知識
主な症状
インフルエンザは突然高熱が出たり、全身がだるくなったりするのが特徴です。
- 発熱(多くは38℃以上)
- のどの痛み・咳
- 鼻水や鼻づまり
- 筋肉痛や関節痛
- 強い倦怠感(けんたいかん)
※特に以下の方は重症化リスクが高いため注意が必要です。
- 高齢者(65歳以上)
- 慢性疾患をお持ちの方(喘息・糖尿病・心疾患など)
- 妊娠中の方
感染経路と感染期間
インフルエンザは主に飛沫(ひまつ)感染で広がります。
咳やくしゃみ、会話中に飛び散ったウイルスを含むしぶき(飛沫)が、近くにいる人の鼻や口の粘膜、目などに付着し、体内に侵入することで感染します。
感染力は、症状が出る1日前から始まり、発症後は通常5〜7日間程度持続します。
特に子どもや免疫力の弱い人では、より長く感染力が続くこともあります。
検査の種類と受け方(当院はPCR対応)
検査には2つのタイプがあります。
1,抗原迅速検査:薬局でも購入可能

- 結果が10〜15分で出る
- 手軽だが、感度がやや低い
- 陰性でもインフルエンザを否定できない場合あり
2,分子検査(PCR):医療機関で検査

- 高感度・高精度の検査
- インフルエンザだけでなく、他のウイルスの検査も同時に可能
- 結果が15~20分で出る
当院の対応
J MEDICALでは、高精度なPCR検査が可能です。
発症から48時間以内に検査できれば、抗ウイルス薬の選択に有利です。
ご予約は電話・メールで日本語予約が可能です。
検査を受けるタイミングと目安
次のような場合には、なるべく早く受診・検査を検討してください。
- 38℃以上の発熱や強いだるさがある
- 基礎疾患がある、または妊娠中
- 家族に高齢者や乳幼児がいる
- 学校・職場の出席可否確認が必要
特に発症から48時間以内に検査を受けると、治療の選択肢が広がります。
治療(抗ウイルス薬とホームケア)
抗ウイルス薬
医師の判断により、以下の抗インフルエンザ薬が処方されることがあります。
- バロキサビル(Xofluza):1回の服用で完結
- オセルタミビル(Tamiflu):5日間服用タイプ
これらは発症から48時間以内に使い始めると最も効果的です。
重症化リスクがある方は、症状が軽くても早めの相談が大切です。
自宅でのケア
まずは水分をしっかり摂りましょう。
そして、安静にして十分に休みましょう。
発熱や関節などの痛みに応じて解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン/イブプロフェン)を使用します。
※小児の場合はアセトアミノフェンが第一選択となります。
社会復帰の目安
解熱剤を使わず24時間以上熱がない状態が続けば、登校・出勤可能とされます。
回復後5日間はマスク着用などの追加対策も推奨されます。
学校・職場によってはExcuse Letter(日本語で言う欠席届や診断書)の提出を求められることがあります。
Jmedicalでは診察時にその場で発行することができますので、お気軽にお問い合わせください。
ワクチンでの予防
アメリカでは、生後6か月以上のすべての人にインフルエンザワクチン接種が推奨されています。
毎年流行株が異なるため、毎年接種が必要です。
今期のワクチン情報:
- トリバレント(三価):A型(H1N1・H3N2)+B型(ビクトリア系統)
- 接種時期は9~10月が目安。(流行中でも接種可能)
ワクチン予約のご案内
Jmedicalではワクチン接種を割引価格$30(税・手数料込)で提供しています。
※ご予約はコチラ
接種は事前予約制ですが、健康診断などでお越しになった際、ついでにワクチン接種を受けて行かれるという方も多いので、接種をご検討の方はお声がけください。
また、体調のよい時に接種することを推奨します。
インフルエンザを防ぐ方法
ワクチン接種は非常に重要ですが、日常生活での予防も効果的です。次の対策を組み合わせて、感染リスクを下げましょう。
- マスク着用:特に公共交通機関や混雑した場所ではマスクが有効です。
- 手洗い・手指消毒:外出後や食事前は石鹸を使いしっかり手を洗う習慣をつけましょう。
- うがい:鼻やのどの粘膜から最近は侵入するので、うがいをしてウイルスを流します。
- 十分な睡眠とバランスのとれた食事:免疫力を保つ基本です。
- 換気の良い環境:屋内では窓を開けたり空気清浄機を活用しましょう。
- 体調不良時は無理せず休む:ウイルスを広げない配慮も大切です。
家族や職場内での予防にもつながるため、ぜひ日常的に実践してみてください。
スタッフおすすめ予防術
Jmedicalで働いてるメディカルチームが日頃行っている、インフルエンザを始め風邪対策をまとめてみました。
Sさん:就寝時の口呼吸を防ぐため、口用テープを貼って寝ています。口呼吸になると口の中やのどが乾燥してウイルス等が侵入しやすくなります。テープを貼る前にリップを塗ると唇の保湿効果も期待出来て、一石二鳥です。
Rさん:帰宅後は、玄関でアウターを脱ぎウイルスなどの持ち込みを防ぎます。その後はすぐにシャワーを浴びて、体に付着しているウイルスを洗い流します。
Kさん:外出時や人込みにいるときは、飴を舐めたりガムを噛んで、常に唾液が出てくるようにしています。口の中やのどにいるウイルスが体内に侵入する隙を与えず、胃に流し込んで胃酸で退治します。
まとめ
1,インフルエンザは早期の検査・治療が鍵になります。特に発症48時間以内が大切です。発熱や関節痛などの症状があるときは、すぐに受診を検討してください。
2,PCR検査は正確で、抗原検査より有効です。ご自宅で抗原検査を実施した結果が陰性でも、PCR検査で陽性になる可能性は否定できないので、症状がお辛いようでしたら、受診をおすすめします。
3,抗ウイルス薬は医師の処方が必要です。早めに服用を開始することで重症化リスクを抑制できます。
4,ワクチン接種は毎年必要になります。9月~10月に接種するのが理想です。
5,保険があれば自己負担は$0が多いですが、保険を使用しない場合は$30で接種可能です。
6,ワクチンに加えて日常的な予防も大切です。日頃からマスク・手洗い・睡眠・換気を心がけましょう。
参考文献・リンク
- Centers for Disease Control and Prevention. (2025). Influenza (Flu). https://www.cdc.gov/flu/
- NYC Department of Health. (2025). Influenza Information. https://www.nyc.gov/site/doh/health/health-topics/flu.page
- WHO. (2024). Seasonal influenza.
https://www.who.int/health-topics/influenza-seasonal - FDA. (2024). Antiviral Drugs Approved for Influenza. https://www.fda.gov/drugs/influenza-drugs